背景のコンセプトアートやイラスト制作の流れ<スケッチから仕上げまで>

 

 

スケッチを描いてアイデアを出す

 

 

まず小さなラフスケッチをたくさん描いてイメージやアイデアを探っていきます。

ペンや鉛筆で軽く線画を描いて、その上からグレーの筆ペンや色鉛筆などを使って軽く陰影をつけていきます。

この段階ではあまり深く考えずとにかくたくさんのイメージを出すことを心がけていきます。この中で気に入ったものを仕上げていきます。

ただ今回はたくさん出しすぎて逆に迷ってしまいました。4つぐらいのラフから選ぶくらいでいい気がします。

今回は赤枠のものを使用しました。

 

人によってはこのスケッチの段階でお客さんに見せる人もいますが、僕の場合はあまり見せません。曖昧な状態で見せると結果的に時間がかかることがあるからです。

 

絵を描くには描くための元となる発想やアイデア、モチベーションがとても大事になってきます。

例え絵が上手い人でも、描くものが思いつかなければ絵が描けないからです。

このプロセスをしっかりやっておき、最終的な絵のイメージを頭の中に固めておくと、本番の絵を描くときにも迷わずに描けます。

 

時間がないときはいきなり本番の絵を描くことも多々ありますが、なるべくやっておくといいと思います。

 

スケッチをベースに絵を仕上げていく

 

 

今回紹介する絵はPhotoshopを使って描いてますが、特殊なブラシや機能は使ってません。どのソフトでも大体似たように描けると思います。

 

①スキャンしたスケッチをPhotoshop取り込み、グレーのシルエットに大きく分けます。

 

 

②線画を非表示にし、シルエットを調整しつつ、遠景・中景・近景で明暗に差をつけて奥行きを出していきます。ぼかさずにシャープなシルエットにすると、CGにした時との見た目のギャップが減ります。

 

③シルエットを固有色でベタ塗りしつつ、影を描きます。今回のようなデフォルメされた情報量の少ない絵では、ブラシの不透明度をあまり下げずに100%のブラシでソリッドに描いた方が描きやすいです。絵のテイストによっては不透明度を下げて曖昧に描いた方がいい時もあるので、状況に合わせて使います。

 

④見せたいところや視線が集まる場所を中心に描きこんでいきます。闇雲に描きこむとやたら時間がかかるので注意です。視線が集まる場所としては、モノの先端や、シルエットの付近、光と影の境目、色や明暗のコントラストが高いところ、などがあります。

 

⑤最初に描きこんだポイントから少しずつ周りに広げながら描きこんでいきます。

全体の密度が均一にならないように気を付けます。

 

 

⑥水面や雲などを描きこんでいきます。今回はそこまで時間をかけられないので雲は軽く仕上げます。雲などの視線があまり集まらない部分を描きこみすぎると、他の部分も相対的に密度を上げて描きこまないといけなくなるので注意です

 

⑦シルエットと色の変化に気を付けながら、手前のディテールも描きこんでいきます。岩や草などに、部分的に写真素材を貼り付けてディテールを足します。この辺で既に大体のイメージはできています。ここから先どれくらい描きこむかは状況によって変わりますが、今回は時間がないので少しだけ描きこみます。

 

⑧オーバーレイや乗算レイヤーで少し光や影をのせ、全体を調整して完成、、ということにします。

乗算はともかく、オーバーレイは特殊な色の変化が起きるので控えめに使います。作業時間は8時間ほどです。

 

思いついたものは全部描いてみる

僕の場合は、何か考えたことやその時に思い浮かんだアイデアはなるべく描いておくように心がけています。描いてる絵に足せるときは足していき、それが難しい時は他の紙に描いたり、文字でも描いたりして、とにかくその場でアウトプットしたほうがいいと思っています

それでも以前は「アイデアを出す時間」と「クオリティを上げる時間」を分けて、速く効率よく絵を描こうとしていました。

そうした方が制作が速く進むので、時間がない時はそうすることも多々あります。そればかり、「クオリティを上げる時間」が作業になってしまいやすいです。描いてるときに新しいアイデアや技術が出てこないと「綺麗だけどつまらない絵」になりがちです。

背景を含んだ一枚絵を描く時はある程度時間がかかってしまいます。

アイデアやストーリーを考えたり想像しているときはいいのですが、実際に本番の綺麗な絵を仕上げて行く時は、ひたすら描きこんだり整えたりする時間が長くなります。そうするとモノづくりではなく、ただの作業になってしまうことがあります。そうするとかなり速いスピードとテンポでやらないと、集中力が持ちにくいです。

 

それよりは、途中で思いついたことをはとにかく絵にしておいた方がイメージが膨らむし、楽しく描けると最近は思っています

ただ、思いついたアイデアを絵に足せるかどうかは、描いた絵がどういう風に使われるかによります。

イラストの場合はそういったアイデアをどんどん付け足していくという描き方は難しくなります。綺麗な完成した絵を描くのが目的なので、要求されたものから外れずに、しっかりと描かないといけません。

そうなってくると思いついたアイデアをその場で絵に入れるという事はなかなか難しいので、最初のアイデア出しがより大事になってきます。

 

コンセプトアートの場合だとプロジェクトの段階によっては、たくさんのアイデアを出さないといけない時があります。そういった場合は最初のスケッチのように、最初に小さい絵でアイデアをたくさん出すというのもいいですし、1枚目の中にどんどんアイデアを足していくということもありだと思います。

 

ただ申し訳ないことに、今回紹介したようなシルエットかっちり最初に固めてから、内側を仕上げていくような描き方は、なかなか後からいじりにくい描き方です。上手い人の中にはできる人もいますが、基本的に曖昧さがないので、制作途中の試行錯誤には向きません。その代わり、最初にシルエットしっかり決めるので短時間で描きやすいです。

 

アイデアを出す時の描き方とクオリティをあげるときの描き方を使い分けるといいかもしれません。

求められている絵に合わせて、臨機応変に描き方を変えることができれば表現の幅も広がるので、アイデアでも描き方でもとにかく色々試してみるのが大切だと思います。

 

色の綺麗な絵を描く時におススメの資料

 

この二冊がおススメです。

「ジ・アートオブ・レミーのおいしいレストラン」

「カラー&ライト、リアリズムのための色彩と光の描き方

色んな絵の本を見てきましたが、やはり画集や設定資料など、絵そのものを見て描き方を真似るのが一番べんきょうになります。

 

上手い人の絵をたくさん見て、自分で観察して実践するわけです。

 

個人的に「〇〇の描き方」などの技法書はあまり参考にならないと思っています。

カラー&ライトも「〇〇の描き方」系の本なのですが、絵がたくさん載っているので画集としても楽しめます。

 

僕は色が苦手なので、上記のような本をマネしながら勉強しています。

 

がんばりましょう