初の一人アニメ制作にチャレンジしました
2022年の9月~11月にかけて平和島ボートレースさまのモータークイーンというIPのアニメPVを制作させていただきました。制作させていただいた映像は下↓のリンク先から見ることができます。
以前から一度一人で短い映像を作ってみたいと思っていて、知り合いなどにいい案件がないか相談はしていました。これまでも何度か機会はあったのですが、都合によりなかなか実現せず。
今回はじめてチャレンジすることができました。
担当したのは映像部分の動画仕上げ以外の全工程です。
絵コンテ、アニメ用のキャラクターデザイン、背景、3DCG、原画、撮影、編集です。
映像はセリフがないMVのようなもので、音楽に合わせて映像がついています。
詳しい制作方法は雑誌のCGworld様に寄稿した記事『Blenderを活用して少人数でのアニメづくりを実現! 「モータークイーン」アニメPV』で解説しているので、この記事では主に感想を述べたいと思います。
ボートレース平和島様のオリジナルアニメーションの制作にご協力させていただきました!!
動画仕上げを除いたアニメ部分の全工程をほぼ一人で担当しております!
ぜひ見ていただけると嬉しいです!!
何卒よろしくお願いいたします~https://t.co/PUEoFGiAgd#モータークイーン #ボートレース平和島— 高原さと✏️書籍の新作を執筆中 (@ART_takahara) January 2, 2023
全体の感想
全体としては満足しています。うまくいったところとそうでないところはありますが、よくやったなーと思います。
一人でやってみたいと思った理由は、いろいろなスキルをまとめて発揮して一つの作品にするという体験がしたかったからです。
これはゲームを作っていたのと同じ理由です。
もともとCGの映像制作会社でコンセプトアートというか設定のようなものをプリプロ周りでやっていました。そこから徐々にプロダクションの仕事が増えてき、背景や原画の仕事、CGの仕事等をチャレンジできる仕事の幅が少しずつ増えてきたのがここ2~3年です。
スキル面はそれぞれ磨いていきたいのですが、学んだスキルをまとめる場所が欲しいなというのが前から思っていたことです。
その一つの方法として見つけたのが、一人で制作を行うというものです。
ただ個人でゲームを作っていた時に、自分ひとりだと特に作りたいものがないのでやる気がでないというのがありました。
なので案件の形で、なおかつ一人でやれる機会を探していたのです。
それを実現できたことは自分の中では成功ですし、自信にもつながりました。
よかったところ、課題が残ったところ
◎よかったところ
・制作工程の設計、物量の管理
・CG部分
△課題が残ったところ
・原画(特に動き)
・絵コンテ演出面
制作の全体として一番うまくいったのはワークフローと物量のコントロールですね。自分でも驚くくらい過不足がなかったと思います。一人しかいない上に、撮影などの新しいスキルも勉強しつつ、ほかの案件も並行してやりながらの作業だったので、物量の管理がカギでした。
そもそもはアニメっぽい映像にしなくてもいいくらいの仕様で、お話をくださった方はもう少しカット数の少ない簡単な映像を想定していたようでした。
僕はそれだとやっても次につながらないと思ったので、少し無理しつつ、でもぎりぎり完成できるくらいのボリュームを目指してコンテを書いてました。
あと物量にもかかわる話なのですが、CGをどこに使おうかを最初から念頭に置いたうえで構成を考えていたのもよかったと思います。CGはルック面では割と満足できる感じになりました。
一方、課題としてはやはり原画ですね。特に動きの部分は未熟さを痛感しました。仕事では作画監督さんや演出さんの修正がありきでやっているので、たまに一人でやるとダメなところがわかりますね。
ただそれはわかっていたことなので、絵の部分はなるべく崩れないように意識はしてました。おかがで絵は最低限見れる感じにはなったのですが、動きの部分は硬かったり中枚数がおかしかったりタメ詰めがなかったりといった問題が浮き彫りになりました。
タイ撮の時点で動きが単調だったのですが、撮影時にタイミング調整やTP修正をしたことで少しマシにはなりました。枚数が足りなくなってガタついた部分とかも発生しまして、その辺はフォグとかエフェクトでも誤魔化せることを発見しました。これは原画の指示にも使えますね。
動きに関してはわかったこととしては均等割でもシートのタイミングの調整だけでかなり動きは変わるなということです。もちろんツメ方は一緒なので絵は同じですが、ランダム感などが出せますね。
あとは均等な移動になると硬い印象になるなと思いました。特に原画は3枚の移動があったら、2枚目は移動の中央からずらさないと等速での移動に見えちゃいますね。これはCGで考えてもそうで、中割をどちらかに詰めてもキーフレームが等間隔だと全体の印象としては単調に見えてしまいます。
動物が等速で動いていることはほとんどないと思うので、加減速がある場合は等間隔の絵を原画で描いちゃだめなんだなと改めて思いました。
今回は映像部分をとにかく完成させることが目標だったのでカロリー面のコンテとしてはよかったですが、演出面はあまり検討できてませんでした。その辺は今後の課題になるかと思います。