独学でも絵は上手くなれます
皆さんお疲れ様です!
高原さと(@ART_takahara)です!
今日は独学で絵が上手くなる方法をご紹介したいと思います
ざっくり僕の自己紹介をします。
僕は現在、フリーランスのコンセプトアーティストとして、ゲームや映像などの媒体で絵を描く仕事をしています。
絵を描き始めたのは、20歳くらいです。
美大に言ってたわけではないので、絵は完全に独学です。
自宅でもにょもにょと一人で練習してました…
ですが、描き始めて1年後にフリーランスのイラストレーターとして仕事をはじめ、その1年半後から映像やゲームのコンセプトアートにかかわる仕事を今までしてきました。
2020年12月には絵の本も出版させていただきました↓
ここでちょっと僕の過去の絵をお見せしますね
大学時代、描き始めはこんな感じでした
日付が2013年になってますね
ここから4~5年後、プロになってからの絵はこんな感じです!!
今の自分から見ても、独学にしては、
わりと頑張ったんじゃないかな…!
と思います。
なので、今日は
絵は独学じゃプロにはなれないのかな
と悩んでる人に向けて、僕が上手くなるためにやった(やっている)具体的な練習法をお話ししたいと思います!
先に結論を話すと、手順はこうです。
①そのとき自分が描きたい絵、目標とする絵をさがす【ゴールの設定】
↓
②目標にした絵の描き方を真似して絵を描き、完成させる【実践】
↓
③描きたい絵と比較して、改善点を見つける【改善】
↓
【繰り返し】また③の改善点を踏まえて①に戻る(新しくゴールの絵を設定する)
これだけです。
僕は、このやり方だけでプロになったと言ってもいいです。
まあ一言で言うと、いわゆる
「PDCAを回せ」ってやつですね
これは、絵だけではなく、あらゆる技術習得に使える考え方だと思っています。
順番に手順を解説しますね。
今でも僕は、絵を描くときは、だいたいこの工程を踏んでます。
ちなみに僕のYoutubeチャンネルでも、今回の内容を解説しました↓
文章を読むのがめんどくさい人はこちらをご覧いただければと思います。
ほぼ音声なので、ラジオ感覚で聴けます
この練習法の利点
・1枚1枚確実に上手くなれる
・練習しながら自分の作品が作れる
・余計な練習をしなくていい
①そのとき自分が描きたい絵、目標とする絵をさがす【ゴールの設定】
まず①の「自分が描きたい絵を探す」です。
これは、ゴールを設定するということです。
これは1枚1枚、そのとき描く絵に対して毎回決めます。
目標の絵を複数枚、設定しても大丈夫です
pixivで探しても良いし、雑誌や漫画などから見つけても良いと思います。
僕は割とpixivで探してました
今ならアートステーションでもいいかもですね
ConceptArtWorld とかも良く見てました
イラスト集とかから選んでも良いと思います。
毎年発行されてるこちらの「ILLUSTRATION」のシリーズ↓は、勢いのある様々な絵描きさんの絵をまとめてチェックすることができます
ここから、自分が描きたい絵を毎回決めることで、やるべきことが明確になります。
ゴールと言ってもいいです。
ここで疑問が生まれます
どういう基準で描きたい絵を選べばいいのか、ということです
自分の好きな絵師さんでいいの?
正確な絵のほうがいいの?
漫画っぽい絵はダメ?
それは自分の好きに決めるのがいいとおもうよ
はい、目標とする絵の選び方に関しては、自分の決め方で決めるのがいいです
自分で描きたい絵、描けるようになりたい絵を選びましょう
このゴール設定を自分以外の基準で決めると、上達が非常に遠回りになります
決め方も決める、というのは、必ずしも、自分の好きな絵とは限らないということです
絵の仕事をするのが目的なら、絵の仕事をもらいやすいような流行り絵、をゴールに設定するのでもいいです
あるいは、
前回描いた絵で、
そういえば前回描いた絵は、落ち影の描き方に問題があったなあ
という新たな改善点が見つかったら、それに合わせて課題の絵も、陰影がはっきりした絵や、屋外の絵を選ぶかもしれません。
例えば僕の場合は、コンセプトアートの仕事をする、というのが目標でした。
そして、映画にしてもゲームにしても、コンセプトアートの仕事は、割合的にキャラクターよりも、背景やプロップの方が物量が多いことがわかりました。
しかし、絵のプロを目指す人は、キャラクターを描きたい人が多いです。
ならば描く人が少なく、仕事の多い「背景コンセプト」を中心に練習したら、仕事を得やすいのではないか、という戦略を立てました。
そしてある程度実績を積んで余裕が出た段階で、キャラクターの絵も練習すればいいと思いました
だから、僕が大学時代描いていた絵で、①のゴールとして設定してた絵は、背景の絵が多かったです
自分がちゃんとワクワクできれば、こういう動機付けでも大丈夫です。
自分の目的に合わせて、描きたい絵のゴールを設定してください。
やりたいことや描きたい絵のゴールがない人は、まずはワクワクできるゴールを設定するのが最初だと思います
本を読んだりゲームをしたりとか、色々インプットを増やしていくと、描きたい絵が見つかりやすいかなと思います
もしコンセプトアートの仕事に興味があれば、こちらの本を読むといいと思います。↓
「ファンタジーの世界観を描く」
僕はこの本を読んでコンセプトアートの仕事に興味を持ちました。
コンセプトアートの描き方や考え方、仕事の進め方が書いてあります
載ってる絵もカッコいいので、テンション上がりまくりです(ヨダレダラー)
さて
目標とする絵の選び方について、他にもこういう疑問が出るかもしれません↓
下手な絵を参考にすると下手になるんじゃないか?
思われるかもしれませんが、大丈夫です。
上手くなれば、自然と目指す絵のレベルも上がるからです。
目標としてた絵に近いものが再現できるようになると、次は同じような絵はゴールに設定ません。
より高いレベルのものを選ぶはずです。
だから、その時自分が一番いいと思う絵、一番描きたい絵をゴールに据えて大丈夫です。
ゴールは段階に応じて変わっていくものですので
今の自分が理解できない「上手い絵」をゴールに据えても成果は出にくいと思います
上手くなってきたら、複数枚の違う絵を部分的にゴールに設定するとより良いです。
「〇〇さんのような絵だけが描きたい」
という状態から、
「顔はAさんの描き方で、服はBさん描き方、画面のまとめ方はCさんの描き方で描きたい」
というような欲が出てくると思います
そういうのでもいいです
組み合わせが細かくなるほど、自分の好きなものがより反映されていきます
こんな感じで、まず描きたい絵のゴールを決めます
②目標にした絵の描き方を真似して描いて、完成させる【実践】
2番目は「描き方を真似して描いて、自分の絵として完成させる」です。
まあ、要は見本を参考に、自分の絵を描くってことです。
模写するのではなく、同じ描き方で、同じ見た目になるように描くのが大事です。
ここに関しては後ほど具体的に絵を見ながら解説しますが、見本の絵を参考に、「自分のオリジナルの絵を描く」ということです。
ここはわかりにくいので、後半の実践例を見てください。
またこの時、描いてる途中で分からないことがあれば、全てその場で調べて、可能な限りその場で絵に反映させてください。
この、「その場で調べて反映させる」をやらないと上手くなれない可能性が高くなります
たまに、
「その場でわからなくても、後から探せるから途中では調べない」
って人もいますが、僕は基本すぐに調べたほうがいいと思います。
なぜなら「わからない」と思った瞬間が、その物事に対して一番モチベーションが高いからです。
その場で対処しないと、あとからそれを調べることは稀なので、わからない部分がわからないままになってしまいます。
調べるといってもググるだけもいいです。
例えば、しゃがむポーズがわからなければ、「しゃがむ 人」と調べて、画像を見て理解する
色の塗り方がわからなければ、pixivで、絵の塗り方の講座を探す
ペイントツールのマスクの使い方が分からなければ知恵袋を見る
描き方などはYoutubeなどで、実際に描いてる動画を見るのも参考になります
目標としてる絵師さんの画集を参考にするのも良いと思います
とにかく描いてる途中で分からないことを調べて、描きながら反映させるのです。
これをやれば1枚1枚、確実に上手くなれます
なぜなら、描く前はできなかったこと、知らなかったことを身に着けているわけですから。
また、絵を完成させるというのも非常に大事です。
「何となく線の引き方を真似して描く」
ぐらいだと、経験値が少ないので上手くなるのが遅くなります
なぜなら、前述した「わからないことを調べて実践する」の回数や密度が格段に減るからです。
最初から「ラフだけど勢いのある絵が描きたい!」というゴール設定をしたならいいですが、最終的にカラーの絵を描きたいなら、最初からカラーの絵を描いた方がいいです
①に描いたように、「線の引き方はDさん、色の塗り方はEさん」などの部分的な複数の目標設定をしてるならいいですが、その場合でも組み合わせて絵は完成させてたほうがいいです。
③描きたい絵と比較して、改善点を見つける【改善】
③は最後に改善をします。
自分の描き方のどこに問題があったか。次はどうやって描けばいいか。
ゴールに設定した絵師さんと何が違うのか考える。
分からなければ調べる、他の人の絵を見る、人に聞く、などです。
ここは②とほぼ同じなのですが、描き終わって完成してから考えないと、気が付けない自分の絵の問題点もあったります。
そこに気が付いたら②と同じく、その都度調べます
他の絵描きさんに質問してみてもいいかもですね
私の絵、何がアカンのや?
親切な人ならDMすれば答えてくれたります
僕も、突撃DMでアドバイスを求めたことがあります
そしてまた①に戻る(新しく課題の絵を設定する)
また①に戻って、次に描きたい絵、ゴールを設定します。
ここで、前回の③で出た改善点をに活かします
というか、自然と活かそうとすると思います
例えば、気が付いた改善点が
問題点「立体の断面の意識が曖昧なせいで、色のグラデーションが大きくなってしまってる。」
改善案「次からは色を塗る前に断面の線を補助線として入れてみよう」
だとします
そうすると、次の①のゴールに設定する絵は、「立体感のある絵」や、「色のメリハリのある絵」「稜線のしっかりした絵」などが候補として上がりそうですね
また②では、資料として彫刻なども参考にできそうです。
という感じで、ひたすら①~③のプロセスを繰り返していきます
これを何回も繰り返すことで、絵が上手くなります。
また作品も溜まっていくので、仕事にもつなげやすかったり、1枚1枚上達を実感できるので、モチベーションにつながりやすいです
絵の仕事をしたい人は、このプロセスをある程度回して作品が溜めて、どこかの会社に送れば仕事がもらえると思います
僕の計測値ですが、一枚10時間くらい以上かけて完成させた絵を、50枚~100枚くらいかけば、そこまでの過程のどこかで仕事にできると思います
【実践】具体例を見ながら練習の流れを追いかけてみる
文章の解説だけだとちょっと分かりづらいと思います
ここでは実際にどういう感じの流れで練習していくのかを、具体例を見ながらざっくり追いかけてみましょう
さて、具体的な①の例の参考として、今僕が、こういうテイストの絵を描けるようになりたいとします↓
(*これは僕が昔描いた絵です、例として他の人が描いた絵として説明します。)
とにかく、どっかから目標となる絵を探してきます
こんな絵が描けたらいいなーとか、ワクワクするようなやる気が出る絵を設定しましょう
僕は、アニメーター・イラストレーターの田中達之さんの絵なんかを見るとワクワクする、というかゾクゾクします
やばすぎる
とりあえず、これで①は終わりです。
次に、描き方や絵のテイスト真似しながら実際に描いていきます
描き方は真似しますが、絵の内容は自分で決めます。
ポーズや構図を自分で決めるのがいいです。
もちろん、それぞれ資料を調べます
例えば同じような感じで、座ったポーズを描きたい
と思ったら、
まず見よう見まねで描いてみます
ここで、
座ったポーズよくわからんな
と思ったとすると、そこで、グーグル検索で、「座ってる人」と調べてみます↓
ポーズを分析しつつ、絵に反映させます
ちょっと良くなったな
ここでも、調べた写真をそのまま写さずに、調べたものの「構造」を理解して、あとは自分で描くようにします。
もちろん実際は、すんなりできません。
ポーズひとつでも一つ試行錯誤が必要になります
こうかな?
違うな
また別の写真を見よう
座ってる絵も見てみよう
とか色々考えながら、調べながら描くわけです。
考えながらがんばって描きますが、結局下手なので、その場では再現できないことも多いです。
そうすると、その疑問点を次の③の改善案につなげていきます
また別の絵でやってみるわけです
さて、ポーズはちょっとマシになりましたね。
ここで、
もっと顔を大きくした方がいいのではないか?
と思ったなら、それも反映してみます
よくわからなければ他の絵をみたり、「頭 大きさ」とかでググってみて、漫画とリアルの境界線を探ったりしてみます
こんな感じで調べたり、仮説を立てて検証したりしながら絵を進めていきます
描き進めるほど、いろいろな疑問やわからないことが出てくると思います。
それをその都度考えながら、なるべく反映させて絵を描いていきます
これを絵が完成するまで、あるいは、もう無理と思うまで続けます
僕の場合は、大体1枚10~12時間ほどかけて、今回紹介した方法で絵を完成させていました
具体的な絵を描くプロセスがわからなければ、本を読んだり動画を見て調べましょう
僕のYoutubeのチャンネルでもPhotoshopを使った絵の描き方などを紹介しています。
動画を見ると絵の描き方をいろいろ直感的に理解しやすいです。
またこちらの本もおススメです↓
「ファンタジー背景」描き方教室 Photoshopで描く! 心を揺さぶる風景の秘訣
背景の描き方に関する本ですが、絵の描き方だけでなく、モノの見方や絵の基本的な考え方などを初心者でもわかりやすく解説してくれています。
描いててわからないことがあれば、こういう本を参考に調べてみてもいいですね
また、僕の電子書籍でも、絵の描き方やモノの見方について解説しています↓
「知ってるとちょっと絵が上手く描けるメモ」
模写・デッサンなどのはいつやればいいのか
よくある質問で、
模写やデッサンはした方がいいんですか?
という質問があります
今回のプロセスには入っていませんでしたね
僕は、模写やデッサンは、今回紹介したやり方の補足的にやるのが良いと思います。
要するに「自分で必要だと思ったらやる」です
たとえば、紹介した練習手順③に、「ゴールに設定した絵と比較して改善ポイントを見つける」
ってのがありますが、改善案が見えてこない場合も多々あります。
例えば
「目標にした絵と何かが違う気がするけど、何が違うかわからない」
とかです
そういうときに「模写」」をするのがいいと思います
そっくりに描いてみることで、漠然と資料としてみるだけでは、わからない部分に気が付くことができます。
こうやればいいのかー!!
あるいは、描いてる途中で、
「筋肉の構造が全くわからん」
ということになったら、そこでデッサンやクロッキーをしたりして、疑問を解決しましょう
つまり、わからない部分やできない部分がわかったとき、そして自分で必要だと思った時に模写やデッサンを重点的に行うことで、効果的に練習ができます
わからないところが、わからずにやるのとは違います。
なぜその絵を模写してるのか、それがわからないのに、模写やデッサンをしてもあまり効果は得られないと思います。
模写やデッサンは必要だと自分が思った時にやるのが良いと思います
ちなみに僕は模写は割とやってましたが、デッサンはプロになるまでほとんどやってませんでした。
今はたまにやります、デッサンというかスケッチですが
模写については以前の記事でも描いたのでそちらもよければ参考にしてください。
まとめ:この練習法の苦しい点
みなさんいかがでしたでしょうか
自分にもできそう
と思えましたでしょうか
できないと思った人も多いかもしれません
実は、このやり方の1枚ずつ確実に上手くなれるのですが、一つ問題、というか苦しいポイントがあります
それは「他人の上手い人の絵を見ながら、自分のめちゃくちゃ下手な絵を完成させないといけないこと」ということです
これがきついかもです
一枚ずつ上手くなれる理由は、「下手な絵でも、目標をもって、最後までしっかり描くから」なのです
なのでモチベーションを失わないために大事なのは、
・ワクワクするゴール設定
・毎回ちょっとずつ良くする
です
紹介した練習手順の①ゴール設定した目標の絵に、自分が本気でワクワクしてるかどうかがポイント
たいして魅力を感じなければ、
「別にそこまで描けなくていいや」
と思ってやめてしまいます
「上手い絵」より「描きたい絵」を①に設定した方がいいという話はそういうことです。
あとは毎回ちょっとずつ良くすることです
これは今回紹介した手順でやれば、ほぼ毎回実感できると思います
ただ「上手くなれた!」が実感できない日もあります
そういうときは改善できなくても、改善「案」を出すのが大事です
もしかしたらこうすれば良くなるんじゃないか?
そういう希望を常に持つようにすれば、これから先、上手くなっていくことを期待できるので継続しやすいと思います。
これから絵が上手くなりたい人は参考にしてみてください
ではでは=また=ノシ
高原さと
この記事もおススメ!↓
絵の技術書を出版しました!
2020年12月に、絵の技術書を出版させていただくことになりました!背景の描き方+考え方や練習法も盛り込んだ内容になっています。
ぜひ一度見てみてください〜
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背景の描き方だけでなく、絵を描くための考え方やアイデアの出し方なども取り入れました。
普段あまり背景を描いてない人でも参考になると思います。
是非よろしくお願いいたします!!https://t.co/0TjW2MeyCe pic.twitter.com/ulE30n1Msu— 高原さと,SatoTakahara (@ART_takahara) November 26, 2020
参考図書
【電子書籍】知ってるとちょっと絵が上手く描けるメモ