アートはなぜわかりにくいのか

アートの勉強をしたいと思った理由

デザイナーの高原です

ふと「アートについて勉強したい」と思い立ちました

 

一応僕はゲーム開発をしたり、映像を作ったりなどとクリエイティブなお仕事もしてます

ただ、絵については基本独学で、美大などには行っておらんのです

 

絵の「描き方」は多少わかっても、「歴史」については全然しらなかったのです

前から興味があったので、今回時間を作って、色々調べてみた次第です

 

この記事では今回学んだことをまとめます

僕の解釈を含んでるし、知識的に間違ってることもあるかもしれません

そのつもりで読んでいただければと思います

 

ちゃんと美術を勉強したひとは読む必要ないです

アートはなぜわかりにくいのか

 

アートってわかりにくいですよね

ピカソの絵とか特に

 

「一枚の絵に複数の視点を取り入れたことがすごい!」

と言われても、普通の人からしたら、

「なんでわざわざそんなことするん?普通に上手く描いてよ」

と思ってしまいますね

 

アートがわかるためには、他の分類や歴史の流れなどを多少知ってる必要があります

 

「分かる」とは「分ける」ということ、つまり「分類できる」ということです

「これは犬だ」とか、「これは木だね」とかが分かってる状態

 

もし「新種の木」を発見したとき、それが「新種」の「木」であるとわかるには、「既にある木」を知らないといけないわけです

 

視覚的に見るだけ、感じるだけでも、多少はわかると思いますが、現代アートは「見る」ことより「考える」ことをメインにしてるので、「見たけど、何も感じない」ときは仕方がないわけです

 

そういう時に、歴史の流れや、そのときの社会の流れを考えて、「なぜそれを描いた(作った)」のかを「考える」とすこしわかりやすくなるのかなと思います

 

アートとデザインの違い

「アート=自分のために作る」

「デザイン=誰かのために作る」

と説明してる人が多いのですが、これはちょっと間違ってると感じます

 

個人的には無理に分ける必要はないと思うのですが、今あえて分けるなら

「アート=問題提起」

「デザイン=問題解決」

かなと

 

社会の状況や流れに対して「それって問題じゃね?」と指摘する

例えば「身分制度って変じゃね?」「宗教画ばっかりなの変じゃね?」「なんでリアルに描かなきゃいけないの?」などなど

 

「論文」に感じですかね

それまでの研究を踏まえて、さらに新しい視点を加えたり、間違いを指摘したり

論文との違いは、論文は実証実験や根拠が必要だけど、アートの場合は結論だけでオッケーなわけです

 

ただアートが最先端の表現をしたり、問題提起をしたり、というのはここ100年とか比較的最近の話

それまではどっちかというと頼まれたものを納品する職人に近いです

 

ルネサンスの時代なんかは、絵描きは好きなように絵を描けるわけではなかったです

貧乏だし、とても「自己表現」なんてやってる場合じゃない

 

描くものは主に宗教画で、貴族や教会からの発注です

礼拝とかに使うわけですから、「誰が描いた」とかどうでもよかったわけです

 

 

 

古典的な絵画

ここで古典的な絵画についてちょっと書きます

 

アートの歴史を考えるときに、「古いものVS新しいもの」対立の構造を考えるとわかりやすいかなと思います

まあどの時代、どの分野でも常に起きてると思いますが

 

アートの中だと、例えば「線VS色」とか「理想VS現実(写実)」とか「具象VS抽象」とかですね

「こっちのがいいんだ!」とかや「いや、それは違う!」とかを常に言い争って進化してきたわけです

 

上記の中で、古典的(昔からある)な方に入るのは「線」「理想」とかです

この「古典的なスタイル」を完成させたのがルネサンスと考えるわかりやすいです

 

古典的な絵画は、普通の人が思う「上手い絵」に近いです

明暗法とパースなどの遠近法で、モノの構造をとらえていきます

 

有名なダヴィンチとかラファエロとかの絵が古典的な絵画に入ります

 

明暗の描写が丁寧で、とても繊細ですよね

 

ちなみに

ルネサンスってのは再生って意味らしく、14世紀~16世紀くらいの芸術運動のこと

「ギリシャとかローマとかの文化を復活させようぜ」って流れです

 

写実的に描いてるように見えますが、宗教画なので「見たまま」を描くよりも「理想的な見た目で描く」という方が強かったみたいですね

 

 

線と色と問題

 

絵を描く人なら「線と色」の問題について一度は考えたことがあると思います

この問題、実は紀元前のギリシャ文明からあるらしいですね

 

 

絵描きの端くれである僕も現在進行形で考えています

 

 

こちらはアングルというフランスの画家の「泉」という作品

 

線で描く派の代表例です

線というよりは形といった方がいいかもしれません

漫画表現に慣れてる日本人からすると、「え、線どこ?」ってなると思います

 

色よりも、形を意識して描いてますね

明暗がはっきりしており、輪郭も明瞭です

アングルは新古典主義というジャンルの人、つまり古典的な絵画を描く人の側です

 

これ対して、色で描く派のわかりやすい例はこちら↓

モネのダリアの咲く庭という作品です

 

大分違う印象ですね

モチーフも相当違いますが、ここでは描き方の方に注目してみます

 

こっちの絵は立体よりも、色を中心に絵を作ってますね

輪郭もぼやけてます

 

立体よりも色の印象を意識して描いてるからなんですね

印象派と呼ばれてるのはそういう理由ですね

 

描かれてるモチーフが何であるかも絵を見るときのポイントですが、「線か色か」に注目してみるのも面白いと思います

 

産業革命について

アートを見るときには、その時代の背景や社会の状況を考えると「なぜそれを描いたのか」理解がしやすいです

 

特にアートを考えるうえで大事なのが、産業革命だと思いました

それまでの世界は「宗教」を中心に回っていたのが、「科学」に移行しはじめたのです

これによって、アートの世界も大きな影響を受けるわけです

 

写真という技術が入ってきたのはこのころからです

それまで絵画は写真に近い使われ方をしていましたが、写真の登場によってリアルに見たものを伝える、というニーズは徐々に減っていきます

 

今でいう「AIに仕事が奪われる」的な恐怖が、当時のアート界でも起こったわけです

 

こちらはフランスの画家、マティスの作品です

見たものをそっくりに描くのではなく、感じたものの素材を楽しむ、という描き方ですね

 

先ほど紹介したモネなどの印象も実は同時代に活動しております

産業革命以降は、古典的な表現よりも、独自の表現を求めるようになったんだと思います

「誰が描いたか」を主張できるようになったものそのあたりからのようです

 

 

 

参考書籍