*この記事はVoicyの「#17 ラクガキのすゝめ」を参考に書かれています
完成した絵はオマケみたいなもんだ!
みなさんお疲れ様です。
高原さとです。
今日のテーマは「ラクガキ」についてです。
「完成した絵はオマケみたいなもんだ!」という、ちょっとショッキングなタイトルにしてみたんですけど。
これは最近僕がすごく思っていることでもあります。
前回の放送で「魅力とは違和感のことである」っていう、違和感とか欠点とか、変な部分のことであるというような話をしたんですけど。
それの延長線でですね、
綺麗な絵を描くことってそんなに重要なことじゃないんじゃないかなと最近思ってるんですね。
最初のチャプターでこの話をしたいんですけど。
綺麗な絵っていうか、できあがった絵っていうのは絵を描くっていうことの中のそんなに大事な部分ではないかなというふうに思います。
むしろそれは最後にできあがった残りかすみたいなもので、そんな大したもんじゃないかなというふうに最近思ったりするんですよね。
ちょっと創作者としてあり得ない発言をしている気がするんですけど。
でも、絵を描くという行為全体に見たらですね。
やっぱりその絵っていうもののすごさというのは出来上がった絵じゃなくて、
やっぱりその絵を描くっていうことを通して得られる体験だったりとかアイディアとか、想像力もしくはその絵を描くことで得られるデザインとか造形力、色の能力とか構図に関する知識とかそういったことなんじゃないかなというふうに思うんですね。
第二回の放送で「これから絵を描く人へ」っていう話の時に。
絵を描くメリットの話をした時に、絵のいいところっていうのは様々な要素を検討できることだよっていうような話をしました。
様々な要素っていうのはね。
デザインとか造形とか色とかそういったことを本来はそれぞれの方法で。
造形とかだったら、例えば粘土とかでやんなきゃいけないわけなんですけど、それを絵で検討することができるわけなんですよ。
例えばもし洋服のデザイナーの人が絵がもし描けたとすると、その絵を描くということを通じて色々検討ができるわけです
もちろん出来上がった絵を他のデザイナーに渡したりとかして『この通り作ってください』というような指示も出せるとは思うんですけど。
それよりもね。
僕がいいなと思うのは
やっぱその絵を描いている時に、頭の中で自分の中でイメージが出来上がっていくプロセスだったりとか、そういう想像力を働かせる手助けをしたりとか、それをまた自分で絵を自分で確認して、またそのデザインとかその色とかを頭の中と紙の上でうまいこと検討することができるというのがいいのかなっていうふうに思うんですよね。
要するに絵が出来上がった時は、絵が完成したというふうにも言えるんですけど、やっぱり自分の頭の中で明確に理解ができたという時なのかなと思うんですよね。
理解ができた時か、もしくは納得した時。
一つの納得っていうか一つのゴールにたどりついた時だと思うんですよ。
その時点で自分の頭の中に正解があるので別にその絵はごみ箱に捨てて別に問題ないんですよね。
もちろん忘れちゃうから記録として取っておくというのはもちろんいいと思うんですけど。
ただね。
一番大事なのは出来上がった絵じゃないんじゃないかなと思うんですよ。
最近はね。
ただね。
やっぱりプロの人は綺麗な絵を描いてるんですよ。
僕も仕事では綺麗な絵をいっぱい描いているんですけど。
やっぱりその綺麗な絵とかクオリティの高い絵それ自体をみんな描いて売っているじゃないですか。
それってやっぱり本当にすごいところじゃないと思うんですよ。
絵っていう技法に関してもそうだし、絵描きっていうところで考えても。
一人ひとりその絵を描く考え方のプロセスとかも違うわけじゃないですか。
やっぱりその絵を描くということのトータルの創作活動が大事なのであって、出来上がった絵にそこまでなんか終始してもあんまりしょうがないんじゃないかなと思います。
っていうことに、みんなあんまり気がついてないかなって思うんですよね。
なんか頭の中にあんまり意識を向けてないっていうか。
目の前に出来た絵とか出来上がったものとかに一喜一憂するじゃないですけど。
とにかくそこをどんな手を使ってでもクオリティの高いものにする、みたいな感じでみんな描いてるから結構似た作品になっちゃったりとかするのかなっていうふうに思ったりもするんですよね。
何が言いたいかっていうと、絵を描いているというのは出来上がった絵、綺麗な絵を作るためにやってるんじゃなくて、自分の中のアイディアとか想像力とか、自分の中の納得とか理解とかが重要なんですと。
それを頭の中に作るための方法なんだっていうふうに僕は最近思ったりしますね。
そんな綺麗なものを作ろうとするよりかは、自分の頭の中の感情とか思想とか、アイディア、想像力とかもしくは自分の中に蓄積されていく想像力、デザインの力とか造形力とか、色彩の感覚とかそういったものに意識を向けるべきなんじゃないかなと思っています。
ちょっと絵描きの人は綺麗な絵を描こうとしすぎなんじゃないかなと思います。
僕も自分の絵をみてそういうふうに思ったんですよね。
そこで、そのまま綺麗な絵とかに捕らわれずにアイディアとか想像力を重視して、絵っていうものの恩恵をかなり最大限に発揮できる方法が、実はラクガキっていうものなんじゃないかなというふうに近頃思っています。
それについて次のチャプターでお話ししたいなと思います。
綺麗な絵よりラクガキしようぜ!
今回の話で何が言いたいかというとですね。
もっとラクガキをしたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。
ラクガキっていうことは本当にすごくいいことがあるなと思うんですよね。
まず別に絵の上手い人でも下手な人でも別にラクガキってできるじゃないですか。
ノートの隅とか教科書とかにしてたようなラクガキとかなんですよ。
突き詰めるとあれがやっぱり絵の一番すごいところなんじゃないかなと思うんですよね。
こんなふうにしたら面白いんじゃないかとか、こういうふうにしたらどうなるんだろうとか、そういう想像力とかそういったことがやっぱ大事になってくるんですよ。
頭の中でね。
いや、もちろんうまく描けたらそれはいいんですけど、別にうまく描けなくても絵にした時点で、ある程度もう形になってるじゃないですか。
下手だったとしてもそれでとりあえずいいと思うんですよ。
それよりも自分の頭の中で、アイディアとか思想とか疑問とかをはっきりさせて、それを絵を使って形にしていくというのが大事かなと思っています
特に、絵の一番のメリットって、前も話したんですけど。
自分の頭の中の情報に感情とかを乗せて視覚化できることとか、アイディアを練ったりとか想像したりとか、それを簡単に形にできることだというような話をしたんですけど。
そういうことを忘れてみんないつの間にか綺麗な絵とかクオリティの高い絵とかを追いかけるようになってしてしまっているんじゃないかなと思っています。
実は、やっぱりラクガキをいっぱいすることが一番絵を楽しむ方法でもあるし、絵っていう技法がもっている力を一番最大限に引き出すための方法なんじゃないかなと思います。
本当にこれは最近気が付いたことなんですけどね。
いろんな人とかを見て気が付いたことではあるんですけど。
僕もラクガキって全然してこなかったんですよ。
僕が絵を描き始めたのが20歳ぐらいだったんで
とにかく余計なことしている暇ないから、要はプロと同じものが描ければプロになれるんでしょっていうふうに思ってたんで。
それはもうラクガキなんてしてる暇ないわと。
綺麗な絵だけ描いて、って描けてないんですけど。
綺麗な絵を目指して、クオリティの高い絵を目指していこうって思って描いてたんですよね。
それは前に絵を描き始めた経緯っていう回の話でしたと思うんですけど。
確かにそうすると当然そっちの方がクオリティの高い絵は当然出しやすいんですよ。
当然早く、いわゆる早くうまくなるにはラクガキなんかせずに、どうすればクオリティの高い絵を描けるかっていうふうに考えて、分析して、工程を分解して、訓練していけばいいんですよ。
それが一番効率良いんで。
そうなんですけど。
やっぱりそれだと、どんどんどんどん固くなっていくというか。
何のために書いてるんだろうみたいな感じになってくるんですよね。
自分の中の、自分の発想とか思想とか、感情とかそういうものを全く、全くではないですけど、なかなか言いづらくなってくんですよね。
で、プロになっていくとさらにそれが強くなっていくんじゃないかなと思っています。
昔は、昔はっていうか何だろうな。
昔から描いてる人と、プロの中にいる人をみると。
昔から描いている人と、ある時急に描き始めて急にうまくなってきた人っていうのがいるんですよ。
ラクガキをいっぱいする方はどっちかっていうと、昔から描いている人なんですよ。
僕は昔から描いている人のそういうラクガキとかをいっぱい見るんですけど、見せてもらってるんですけど。
めちゃくちゃ昔から描いてる割にはそこまでうまくなってないなこの人、みたいなことを思っていて。
やっぱり効率よく綺麗な絵を出す方に終始した方が、うまくなれるんだっていうふうに思って、若干見下してるってほどではないですけど、効率悪いことやってんなこいつらというふうに思ってたんですよね。
でも、むしろ綺麗な絵を描く方が先に限界がくるのかなっていうふうに思うんですよね。
一度綺麗な絵を描くようになってしまうとなかなかそれを、そこから雑な絵とかをなかなか描きづらかったりもすると思うんですよね。
しかもプロになっちゃうと、プロとしてのクオリティのものを出さなきゃっと思って結構描いてたりするんですよ、みんな。
ツイッターアカウントとかを見ても、pixivにしても。
みんなやっぱり自分のプロクオリティで並べるじゃないですか。
アカウントに載っている絵は。
もちろんそれは、なぜそうしているかというと仕事をもらいやすくするためなんですよ。
ラクガキとかばっか載せてたら仕事もらえないじゃないですか。
だから綺麗な絵をいっぱい載せた方がいいんですよ。
ラクガキ描いても載せていないんですよね。
絵を描く前にざざっと描いたラクガキとか、お昼休みに考えたこととかを書き留めたようなラクガキとかって載ってないんですよね。
それ、載せられるはずがないんですよ。
そういう目的のために絵を描いてないんですよ。
目的は綺麗に描いたり、クオリティの高い絵を描いて仕事をもらうことなんですよ。
だから、ラクガキとかってあんまりしないし、世の中に出てこないのかなって思うんですけど。
むしろそっちをたくさんやっていかないと頭打ちになってしまうかなっと思います。
結局そんな綺麗な絵とかなんてそんなの、要素を分解してどうやって描いてるのかとか、画材はどうで、描いてる時間はこのくらいでみたいな、この段階でこういうことをしてっていうふうに手順を分解していけば、追いかけられるんですよ。
それはだから別にそんなに大事じゃないなと思って。
そうじゃなくて、やっぱり何を描こうかとか、それを描くことで自分は何を得たいのかとか、
自分は何が好きなのかとか、なぜこれが描きたいのかとか、そういう自分の中の内面にもうちょっと目を向けて描くべきなんじゃないかなと思っています。
そういうことにしっかりと気が付いて絵を描いていれば。
要するに絵を描くというのは自分の内面の発想とか、アイディアとかが大事なんだと。
技法というのは別にそこまで、もちろん大事ではあるんですけど、綺麗な絵を出すことはそこまで大事じゃないんだということがわかっていれば、別にすぐに全然別のテイストにしたりとかできると思うんですよ、恐れずにね。
別のテイストにしたりとか、じゃもう絵じゃなくてCGをやろうとか、もしくは造形をやろうとかそういうほかのことにもすっと始められると思うんですよね。
でも、いい絵を描こうとしていた人、もしくはクオリティの高い絵を描こうとしていた人たちは、なかなかそれができないんですよ。
なぜかっていうと、それやっちゃうともう一回そこで一からやり直すというか、クオリティが落ちる危険性があるじゃないですか。
それをやりたくないんですよ。
僕もまさにそうだったからやりたくないんですけど。
でもそこで自分がこうしたいとか、こういうふうにしたらどうなるんだろうかとか思ったアイディアとか発想とかパッと形にできないんだったら、それがクオリティが低くなるからって形にできないんだったら、もう何のために絵を描いてんのっというような話になると思うんですよね。
長くなったんですけど、何が言いたいかっていうと、もうちょっと出来上がった絵の綺麗さとかクオリティの高さとかにちょっとウェイトを置きすぎないように気を付けたほうがいいかなっと思っています。
これから絵の仕事は縮小していくと思うんですよ。
あんまり急激には減らないと思うんですけど、そこまで増えてはいかないかなと思うんで。
そして、やっぱり綺麗な絵とかに終始しちゃうとあとの仕事も少なくなっちゃうんで。
そうじゃなくて、アイディアとか発想とか思想性とかに注目して絵を描いていれば、
別にどんなことにでも絵っていうのは転用できるんですよ。
本当に、いろんなことを検討できるんでね。
さっき言ったようなファッションとかにいったりとか、立体の造形にいったりもできるし、
CGにいったりもできるんで。
そのまま綺麗な絵じゃなくて、自分の中のものっていうのを大事にしていって絵を描くといいんじゃないかなと思います。
で、それを磨くにはほんとラクガキをいっぱいすればいいんじゃないかなと思いますね。
何でもいいと思いますよ。
要するに綺麗な絵を作るためじゃないものを描けばいいんですよ。
ただ単に自分が好きなものを描くとか自分がいいと思うものを描くとか、自分が頭に思い描いたものを描くとか。
そういうふうなことをたくさんたくさんやっていくと、自ずといろんな分野にそれが使えると思うんですよ。
そんな感じでね、ラクガキをもっとやってみたいなというようなことを今日は考えてみました。
でも、ここは結構根が深い問題かなと思っておりまして。
やっぱりクオリティが高くないと出せないと思っている人って結構いると思うんですよ。
ツイッターとかをみてると。
プロとして最低限恥ずかしくないクオリティで出さなきゃみたいな。
そういうふうな考えのせいで、なんか絵を描く量が減ってる人が結構いるんじゃないかなっと思っています。
自分で描くのも嫌になってくる気がするんですよね。
クオリティ高い絵じゃないと描きたくないみたいな感じになってきちゃったりするのかなっと思っていて。
そうじゃなくて、もっと気軽に、ラクガキとかでいいんで、たくさんアイディアとかをどんどん出していって、もっといろんなことを考えていけばいいんじゃないかなっと思います。
絵なんて、別に下手だからって死ぬわけでもないし、上手かったからって別に誰の命も救えないんで。
という話を誰かがしていました
ではではまた
高原さと
*この記事はVoicyの「#17 ラクガキのすゝめ」を参考に書かれています
テンションが上がるラクガキ画集
上手い人のラクガキを見るとテンション上がりますよね
(゚д゚)ウマーってかんじになります
描いてて楽しそうです
「吉成曜画集 ラクガキ編」
こちらの画集はとってもおすすめです!!
10倍の値段でも買うと思います
人物や動物、メカ、静物、エフェクトなど、トップアニメーターの様々なラクガキを見ることができます!ヤバい!!
結局絵に関しては技法書よりもひたすら絵を見せてくれる本の方が参考になると思う今日この頃でした